昔から漆喰(しっくい)が使用されていたところを見ると、漆喰の効用がうかがい知れると思います。
城壁:白壁の透き通った外壁は、耐久性がすぐれる一方、権威の象徴として尊重されました。
土蔵:土壁の上に塗ることにより、土壁の低い強度を補完しつつ、化粧材の役割をします。また漆喰の吸放湿性・防かび性が貯蔵品の長期保存に大切な役割をします。
家屋の内壁:灯りの乏しかった昔の家では、漆喰表面の乱反射する特性が家の中を明るくしました。
押入れ:漆喰の高い吸放湿性・防かび性は、布団のだに・かび対策に有効です。
お風呂場: かびの繁殖しにくい特性が湿気の非常に多い浴場に有効です。
漆喰(しっくい)の建物は、日本では法隆寺、高松塚古墳の約1,300年前にさかのぼり、その後江戸時代になってから、城郭、そして町屋文化とともに漆喰壁は多く使用されるようになりました。漆喰の良さ・堅牢性は歴史が物語っています。
漆喰(しっくい)の原料である石灰は文明とともに生きていくことになります。古代エジプト文明のピラミッドやローマ・ギリシア文明の建物等もヨーロッパのフレスコ画も石灰(一種の漆喰)でつくられています。ほかに、マヤ遺跡、万里の長城、日本の法隆寺、高松塚古墳等世界を代表するいにしえの建物はほとんど漆喰でできているといっても過言ではありません。
漆喰(しっくい)の原料「消石灰」は、石灰石を焼成・消化した物です。現在の石灰石は、2億~3億年前のサンゴ礁と言われています。サンゴは海の中で海中の二酸化炭素を吸収し石灰質の殻を作ります。海の中にあったサンゴ礁は、その後の造山活動により隆起し陸となり、日本各地の石灰鉱床を生成したとされています。
漆喰(しっくい)とは、石灰に海草糊やスサ(麻の繊維や紙などを細かく切ったものまたは川砂)を混ぜてペースト状にしたものです(コテで押さえて仕上げる)。石灰はカキの貝殻などを粉にしたものを混ぜたようですが、現在の漆喰は化学糊を使いるものもあります。むかしの左官はそれぞれの材料を混ぜて漆喰を調合しました。今では全て混ざったものが売られています。漆喰の持つ特性は環境問題にも、シックハウス対策にも有効です。